【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
「ふん。エルシアの頼みだから着いてきてあげたんだもん」
舌をべーっと出し睨んできた小さな妹に、殿下は困った様子で頭を掻いている。だがこの様子なら、二人の関係はもう大丈夫だろう。
「それで一体、わざわざ改まって話とはなんだ?」
せっかちなベッカーが話を切り出すと、ミーミル様と抱き合っていた私は立ち上がり、ベッカーにあるものを手渡した。
「これを、あなたに渡しておこうと思って」
「これは……?」
膨らんだ一抱え程の布袋の中身をベッカーは確かめ、目を丸くする。
「陽炎草……! そうか、ローエンの薬草園で育てたものが、収穫の時期を迎えたのだな」
「うん。半分は育ててくれた彼に。それで、半分はあなたに」
「ローエンに紹介され、プリシラと会ったのだったな」
「そうなの。陽炎草の栽培を提案されたけど、断っちゃった」
舌をべーっと出し睨んできた小さな妹に、殿下は困った様子で頭を掻いている。だがこの様子なら、二人の関係はもう大丈夫だろう。
「それで一体、わざわざ改まって話とはなんだ?」
せっかちなベッカーが話を切り出すと、ミーミル様と抱き合っていた私は立ち上がり、ベッカーにあるものを手渡した。
「これを、あなたに渡しておこうと思って」
「これは……?」
膨らんだ一抱え程の布袋の中身をベッカーは確かめ、目を丸くする。
「陽炎草……! そうか、ローエンの薬草園で育てたものが、収穫の時期を迎えたのだな」
「うん。半分は育ててくれた彼に。それで、半分はあなたに」
「ローエンに紹介され、プリシラと会ったのだったな」
「そうなの。陽炎草の栽培を提案されたけど、断っちゃった」