【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
――この間、薬草園を管理するローエンさんの元に、プリシラ院長が訪れる機会があった。
その時国に帰ることを伝えた私に、ローエンさんは寂しそうに収穫後の陽炎草の鉢植えを見つめた後、手を差し出しこう言ってくれた。
『短い間でしたが、ありがとうございました。陽炎草のことだけじゃなく、あなたが居てくれたことでベッカーさんや殿下、きっと他にも色々な人が希望を持てたと思います。またいつか、必ずこの国を訪れてください。待っています』
心からの別れの言葉と共に、お土産の薬草やハーブティーを渡してくれる彼と握手を交わすと、私は次に院長に申し出に応じられなかったことを詫びる。
きっと院長はとてもがっかりしたことだろう。しかしそんな様子をおくびにも出さず彼女は、『あたしたちのことは気にしなくていい。向こうでも頑張りな!』と私の背中を張り飛ばしてくれる。
だからというわけではないけれど、私は二人と約束をしたのだ。
私もジュデットとセーウェルトの国交が開かれるよう努力することと、そう成った暁にはこちらに戻り、必ず新薬の作成に手を貸すことを……。
その時国に帰ることを伝えた私に、ローエンさんは寂しそうに収穫後の陽炎草の鉢植えを見つめた後、手を差し出しこう言ってくれた。
『短い間でしたが、ありがとうございました。陽炎草のことだけじゃなく、あなたが居てくれたことでベッカーさんや殿下、きっと他にも色々な人が希望を持てたと思います。またいつか、必ずこの国を訪れてください。待っています』
心からの別れの言葉と共に、お土産の薬草やハーブティーを渡してくれる彼と握手を交わすと、私は次に院長に申し出に応じられなかったことを詫びる。
きっと院長はとてもがっかりしたことだろう。しかしそんな様子をおくびにも出さず彼女は、『あたしたちのことは気にしなくていい。向こうでも頑張りな!』と私の背中を張り飛ばしてくれる。
だからというわけではないけれど、私は二人と約束をしたのだ。
私もジュデットとセーウェルトの国交が開かれるよう努力することと、そう成った暁にはこちらに戻り、必ず新薬の作成に手を貸すことを……。