【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
「他の誰に言われるでもなく、僕自身が君を好きになった。誰かのために無茶をする、そんな温かい心も……一見冷たそうな綺麗な顔をしてるくせに、いざ話すと、とても無邪気で可愛いところも。僕からすれば君に惹かれたのは不思議でも何でもないよ」
私は瞑っていた目を半分だけ開けた。
その褐色の肌の色はいつもと変わらない。でも目元だけが薄っすら熱を帯びていて、どうにも蠱惑的だ。殿下はそんな情熱的な瞳を外さぬまま薄く笑う。
「ベッカーは言っていたよ。君はここに来て、僕に大きな影響を与えてくれたって。ならばきっと今の僕の状態は君のせいだ。そのことに少しでも責任を感じるなら、こんな僕を素直に受け入れてくれてもいいんじゃない?」
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
収まらない動悸のまま、懸命に身体の間に挟んだ腕を突っ張る私。
けれどびくともしない。そして気づけば背中には城壁の感触がある。上手く体の位置をずらされ、追い詰められている。
「待たない。だって僕たちがこうして一緒に過ごせる時間はもうほとんどないんだから」
「お、お願いですから、そういうのは私が向こうから戻って来た後にして下さい! 後でなら……」
私は瞑っていた目を半分だけ開けた。
その褐色の肌の色はいつもと変わらない。でも目元だけが薄っすら熱を帯びていて、どうにも蠱惑的だ。殿下はそんな情熱的な瞳を外さぬまま薄く笑う。
「ベッカーは言っていたよ。君はここに来て、僕に大きな影響を与えてくれたって。ならばきっと今の僕の状態は君のせいだ。そのことに少しでも責任を感じるなら、こんな僕を素直に受け入れてくれてもいいんじゃない?」
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
収まらない動悸のまま、懸命に身体の間に挟んだ腕を突っ張る私。
けれどびくともしない。そして気づけば背中には城壁の感触がある。上手く体の位置をずらされ、追い詰められている。
「待たない。だって僕たちがこうして一緒に過ごせる時間はもうほとんどないんだから」
「お、お願いですから、そういうのは私が向こうから戻って来た後にして下さい! 後でなら……」