【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
 お二人の心遣いには頭が下がるばかりで、とても心強い。
 ギーツ様と会うのは久しぶりだけど、これで気後れせずに話し合いに臨むことができそうだ。

 時計の針が少しずつ進み、帝国に近付く中、一人の近衛兵が扉を開け敬礼する。

「失礼致します。陛下、予定通りセーウェルト王国からの御一行が到着されたようです。間もなくこちらに移られるかと」
「うむ、わかった」

 場合によってはこの会談でジュデットとセーウェルトとの関係が大きく動くかもしれない。そんな緊張感の中、少しずつ大勢の足音と話声が近づいてきた。そして……扉が開かれ聞き覚えのある声が響く。

「失礼する! あなたがたがジュデットの国王と王太子か、お初にお目にかかる! 私が聖女を有する大陸一の富裕国、セーウェルト王国の王太子であるギーツ・セーウェルトだ!」

 ギーツ様は自信満々の態度でそんなことを言い放つ。そして護衛の兵士が数人、ザッと足音を立てて彼の後ろに並んだ。
< 327 / 471 >

この作品をシェア

pagetop