【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
しかしその発言を殿下がすかさず冷静に突いた。
「仮にそれが真実だったとして、どうしてそんなことを知っておられる? 現在、セーウェルトとジュデットの国境は遮断しており、互いの民はおいそれと出入りできないはずだが」
「そそ、それは……か、風の噂に聞いたのだ! 魔族の王太子とセーウェルト人の女らしき人物が、現在恋仲にあるのだとな!」
言葉に詰まり言い訳するギーツ様。しかしそれはやや苦しい。
「ほう……? しかしそれでは、その女性がエルシア嬢だとは特定できますまい。ああ、もしや先日我が国に潜入していた何者かが、自らがセーウェルトより送られた刺客であるという妄言を吐いていたのですが、まさかそれは真実だったとか……? もしそうであるとすれば、我々としても各国にこうした事実があったことを広め、警戒するようにお知らせせねばならんでしょうな」
「――しし、知らん知らん知らん! それこそ事実無根だ!」
刺客たちがほとんど何も明かさずに命を絶ったのは私もベッカーから聞かされているし、これは殿下の完全な鎌掛けだ。しかしギーツ様は大層動揺し、汗をだらだら流しながら声を荒げている。
「仮にそれが真実だったとして、どうしてそんなことを知っておられる? 現在、セーウェルトとジュデットの国境は遮断しており、互いの民はおいそれと出入りできないはずだが」
「そそ、それは……か、風の噂に聞いたのだ! 魔族の王太子とセーウェルト人の女らしき人物が、現在恋仲にあるのだとな!」
言葉に詰まり言い訳するギーツ様。しかしそれはやや苦しい。
「ほう……? しかしそれでは、その女性がエルシア嬢だとは特定できますまい。ああ、もしや先日我が国に潜入していた何者かが、自らがセーウェルトより送られた刺客であるという妄言を吐いていたのですが、まさかそれは真実だったとか……? もしそうであるとすれば、我々としても各国にこうした事実があったことを広め、警戒するようにお知らせせねばならんでしょうな」
「――しし、知らん知らん知らん! それこそ事実無根だ!」
刺客たちがほとんど何も明かさずに命を絶ったのは私もベッカーから聞かされているし、これは殿下の完全な鎌掛けだ。しかしギーツ様は大層動揺し、汗をだらだら流しながら声を荒げている。