【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
彼女のやつれた姿を見て……もしかして大聖女として働く傍ら、少しは仕事の大変さが身に染みて、捻くれた人格が矯正されたのかと期待してしまう私は甘いのだろうか。
ともあれ、私は当初の予定と変わらず、セーウェルトへと帰還することが決まった。リリカが言っていたことが本当ならば、王都に居る人々や、プリュムたち聖女の状態が気がかりだ。
「どうかした? エルシア」
「……いえ。私、向こうでも頑張りますから……!」
「ああ。きっとすぐ、また会えるさ」
彼らをこれ以上困らせるわけにはいかないと、私は浮かない表情を元に戻す。
自分の国に戻る不安もそうだけど……もしかしたら交渉が上手くいかなくて、まだ殿下たちの傍に居られるんじゃないか――少しだけそんな浅ましい願いを抱いてしまったことは、秘密にしておかなきゃ。
部屋に送ってくれると差し伸べられた殿下の手を、私は強く握る。
そしてこの感触を忘れないようにしようと、なるべくゆっくりとした足取りで応接室を後にするのだった。
ともあれ、私は当初の予定と変わらず、セーウェルトへと帰還することが決まった。リリカが言っていたことが本当ならば、王都に居る人々や、プリュムたち聖女の状態が気がかりだ。
「どうかした? エルシア」
「……いえ。私、向こうでも頑張りますから……!」
「ああ。きっとすぐ、また会えるさ」
彼らをこれ以上困らせるわけにはいかないと、私は浮かない表情を元に戻す。
自分の国に戻る不安もそうだけど……もしかしたら交渉が上手くいかなくて、まだ殿下たちの傍に居られるんじゃないか――少しだけそんな浅ましい願いを抱いてしまったことは、秘密にしておかなきゃ。
部屋に送ってくれると差し伸べられた殿下の手を、私は強く握る。
そしてこの感触を忘れないようにしようと、なるべくゆっくりとした足取りで応接室を後にするのだった。