【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
 でも、こうやってセーウェルトに帰ってきたことを実感していると……。
 大地と大地が国境線で区切られていることに、私は変な感触を覚える。

 一体いつから人々は誰の許しを得て、こうして大地を分け、自分たちのものなのだと主張して疑わなくなったんだろう。きっと生きていくために必要だったんだろうけど、今の時代にそれって、必要なことなのかな。

(私たちは……平和に生きてさえいられたらそれでいいのにな)
「セーウェルトの大地は海と繋がっていますのよね? 私、海産物にぜひ挑戦してみたいのですわ! セーウェルトの王都に着けば食べられますかしら!?」
「そーねぇ……専門のお店も確かにあるわよ。今度連れてってあげましょう」

 はしゃぐメイアの隣でこうしていると、どうしても虫のいい考えが浮かぶ。
 ジュデットとセーウェルトの関係について、私などでは何も出来ないのが分かっているのに。何かいい方法はないのかなんて頭の中で理屈を捏ねるばかりで、こんなのはきっと……無責任だ。

 それでも私は魔族の人たちを想うと、頭の中でああだこうだ考えるのをどうしても止められないでいるのだった。
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