【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
「エ、エルシア様……? このまま、大聖女に戻って、また前までの様に私たちを指導してくれるんじゃないんですか!? 大聖堂の皆も、王都の人々もみんなそれを望んでいるのに!」
「ごめんなさい、それは出来ないわ」

 必死に引き留めてくれる彼女の気持ちは有り難いけれど、私には他にやりたいことがあるのだ。

「私が、半年間ずっと魔族の国へ行ってたのは話したよね?」
「は、はい……メイアさんのことも聞きました」

 大聖堂で勤務する主だった人たちに、私の事情とメイアのことは既に話してある。

 魔族を見たのは初めてだという人がほとんどだし、魔族を認めないセーウェルトという国に住んでいるのだ、拒否感を抱くものは少なからずいた。けれどそれよりも忙しさの方が勝ったし、活発で真面目な仕事ぶりのメイアを見ては、途中からそんな事も気にならなくなった様子。

 今では皆自然とメイアのことを受け入れてくれている。それを見て私は確信が持てたのだ。
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