【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
「私、魔族たちが人間と全く変わらない、とても素敵な人たちだって知ったから、それを広めて回りたいの。いつかセーウェルトの人と彼らが手を取り合って、自由に互いの国を行き来する姿を見てみたいから。きっと多くの人の声を集めれば国にだって届くわ」
「そ、そんなことをしたら、下手すればエルシア様が捕まってしまいます!」
「かもしれない。けどやらなきゃ……。私の大好きな人たちと約束したの。また必ずもう一度、彼らの国に胸を張って戻るからって」

 そんな私の話を真剣な顔で聞いていたプリュムは、納得できない様子で俯く。でも結局、私を止めることはしなかった。

「ここに留まって、エルシア様が私たちを率いてくれたらどんなにか……。でもわかっています、エルシア様が自分で決めたことを、他の誰かが止める権利はないことを。大聖堂は、私たちに任せて下さい。リリカさんが何かするかも知れませんけど、今度こそは自分たちだけでこの場所を守ってみせます」
「ありがとう、プリュム」

 私は彼女と軽く抱き合う。今まで気づかなかっただけで、セーウェルトにだって私を支えてくれた人はちゃんと周りにいた。それを再確認できただけでも、この場所に戻って来た価値はあった。
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