【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
 妹はしずしずと頭を下げ、ギーツ様の隣に戻る。
 そしてセーウェルト王は玉座に荒々しく座り直すと、衝撃の一言を言い放つ。

「元大聖女エルシアよ……貴様を処刑した暁にはジュデットにまでそれを知らせてやろう。恋仲であったという、あの王太子がその時どのような行動を取るか見物だな。もしそれを理由にこちらに攻め込んで来るような事があれば、我々は奴らが貴様を誑かしてセーウェルトの転覆を謀ったと、諸国に訴えかけさえすればよい」

 くぐもったセーウェルト王の嘲笑が、玉座の間に広がってゆく。

「くくくくくっ……さすれば、凶暴な魔族どもを駆逐するために兵を挙げるという大義名分も立つ。貴様は列国の包囲を受け殲滅される魔族たちの姿を、墓の下で指でも咥えて見ているがよいわ。ふは、はははははっ……!」
「そ、そんな……」

 今以上に戦火が広がり、ジュデットとセーウェルトや他国との関係が悪化してしまう。恐ろしい未来を突き付けられて絶望する私の前で、セーウェルト王が手を振り払い、兵士たちに命令した。
< 375 / 471 >

この作品をシェア

pagetop