【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
全体的に薄暗く感じるのは、室内の調度品に暗色が多い感じだからだろうか。
しかし、どれもが品のよい作りをしていて、下手をすればあの王太子ギーツの私室とにも負けず劣らずの豪華さに見える。
私はちょっと禍々しい黒ガラスの水差しに目を止めた。
酷く喉が渇いていたのだ。
「……目が覚めたのか」
けほっ、と咳をした時……真上から唐突に影が差し驚く。
ひとりの白衣を着た青年が私を見下ろしている。
白髪で顔が異様に白い、人形のような印象の男性。
瞳の色は赤く、左目に掛けてある片眼鏡が少し特徴的だ。
手が伸ばされ私はびくっとしたが、彼はコップに水を注ぐと、自分の手を支えに私を起こしてくれる。
「飲めるか?」
背中に当たる手は氷のように冷たい。
しかし、どれもが品のよい作りをしていて、下手をすればあの王太子ギーツの私室とにも負けず劣らずの豪華さに見える。
私はちょっと禍々しい黒ガラスの水差しに目を止めた。
酷く喉が渇いていたのだ。
「……目が覚めたのか」
けほっ、と咳をした時……真上から唐突に影が差し驚く。
ひとりの白衣を着た青年が私を見下ろしている。
白髪で顔が異様に白い、人形のような印象の男性。
瞳の色は赤く、左目に掛けてある片眼鏡が少し特徴的だ。
手が伸ばされ私はびくっとしたが、彼はコップに水を注ぐと、自分の手を支えに私を起こしてくれる。
「飲めるか?」
背中に当たる手は氷のように冷たい。