【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
41.魔族の王子、急行する(クリスフェルト視点②)
エルシアが処刑されるという事実を伝えられて二日後。
私は兵を掻き集め、かっての抗争地帯であったジュデット最西部、ローバー伯の領地に足を踏み入れた。そのまま国境に築かれた砦に移動し、ローバー伯に兵を借り受けたいと打診すると、快く彼は受け入れてくれた。
「エルシア殿はジュデットからセーウェルトに帰還する際、多くの傷病兵を聖女の力で治療して下さりましたからな……。彼女の窮地と聞かされ、自ら志願する兵も多かった。防衛に徹し、戦闘行為は行わせないという条件で我が兵を殿下にお貸ししましょう」
「ああ、それで十分だ。後方に控えてくれれば威圧にもなるしな」
私はその中でも足の速い騎竜兵の部隊を借り受け、さらに西に進軍する。
そうするとすぐに向こう側の国境が近付き、城塞から警告の矢が放たれる。
セーウェルト王国が国旗にも使用している青と同色の羽根飾りを兜に付けた、指揮官らしき人物が大声で叫んだ。
「止まれ! 現在ジュデットとセーウェルトは停戦中のはずだ! このまま進むようなら我らは全力で貴様らに攻撃し、国際社会に貴様らの暴虐を知らしめるぞ! それでも良いのか!」
私は兵を掻き集め、かっての抗争地帯であったジュデット最西部、ローバー伯の領地に足を踏み入れた。そのまま国境に築かれた砦に移動し、ローバー伯に兵を借り受けたいと打診すると、快く彼は受け入れてくれた。
「エルシア殿はジュデットからセーウェルトに帰還する際、多くの傷病兵を聖女の力で治療して下さりましたからな……。彼女の窮地と聞かされ、自ら志願する兵も多かった。防衛に徹し、戦闘行為は行わせないという条件で我が兵を殿下にお貸ししましょう」
「ああ、それで十分だ。後方に控えてくれれば威圧にもなるしな」
私はその中でも足の速い騎竜兵の部隊を借り受け、さらに西に進軍する。
そうするとすぐに向こう側の国境が近付き、城塞から警告の矢が放たれる。
セーウェルト王国が国旗にも使用している青と同色の羽根飾りを兜に付けた、指揮官らしき人物が大声で叫んだ。
「止まれ! 現在ジュデットとセーウェルトは停戦中のはずだ! このまま進むようなら我らは全力で貴様らに攻撃し、国際社会に貴様らの暴虐を知らしめるぞ! それでも良いのか!」