【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
「この国に聖女様を悪く言うやつはいねえよ。あの人たちがいるせいで、俺たちは家族の身に何か起こっても希望が持てるのさ」
「エルシア様には我が息子の命を助けていただいたのです! 少しでも御恩が返せるのなら……」

 そんな声があちこちで聞かれた。
 我々が魔族だということが判明しても、気にせずに食糧や補給物資を支援してくれたり、仲には王家への抗議活動に加わるため、そのまま軍に同行しようとする者までいる。

 各町を守る領主の中にも、せめて抗議活動には参加すべしと我々に付き従ってくれる人物もおり、部隊の規模は膨れ上がった。

 そして私たちが王都に辿り着いた処刑当日には、王都をそのまま取り囲めるほど見渡す限りの大勢の人の波が、後ろの大地を埋め尽くしていた。

「処刑は正午。太陽の位置を見れば、なんとか間に合ったようだな」
「あれがセーウェルトの王都か……」
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