【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
「大丈夫? 今体に痛むところは無い? 水は飲ませてもらったのかな? お腹は空いてないか?」

 矢継ぎ早の質問に、私は面食らう。
 白髪の男が私に代わり淡々と説明をしてくれた。

「水は飲ませましたが、食事はしばらくお預けですな。毒の影響か、まだ喉が痛むようです。込み入った質問はしないほうがよろしいかと」
「そうか……」

 鮮やかな翠玉のような目で、ひどく心配そうに私の顔を覗き込む美青年。
 彼は申し訳無さそうに私の手を握る。

「君が庇ってくれなければその毒は僕が受けていたはずだ。本当にありがとう」

 あの時は、彼が助けに来てくれなければどの道私はどこかへ連れ去られ、碌でも無い目に遭っていた。
 だからお互い様。気にするなというように首を振ると、彼は目元を緩めひとつずつ丁寧に説明を始める。
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