【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
 しかし、彼の放った一言目がまず、私にとっては驚愕の事実だった。

「ここは実は、魔族の国ジュデットなんだ」
(……なんですって?)

 動揺してぱくぱくと口が動く。

 魔族の国ジュデット。
 まさしく、セーウェルトと敵対関係にある国家の名前である。
 そして続く言葉も私を激しく混乱させた。

「そして、君が倒れてから、今日でちょうど一カ月が立っている」
(……えぇぇ!?)

 私は銀髪を掻き乱す。

 家への連絡を怠ってしまったこと、そして勝手に祖国を出てしまったことの不安が、両肩にずんと圧し掛かる。
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