【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
「たまったツケが、今度は着々と我が国の基盤を揺るがしつつある。ですから、少しずつでも他国と正常な関係に戻れるよう、私たちは努力していかなければならない。変革が必要な時期となったのです」

 レセル様とその配下は、あの二人にはそれが不可能だと見越していた。だから彼は身体が治っても息を潜め、味方を増やしつつその機会をずっと窺っていたのだ。

 レセル様はベルケンド陛下と他国から来た重鎮たちの前に赴くと、その手を差し出した。

「無論、こうした事態を利用し王位を奪取することについて、謗りを受けることもあるでしょう。でもそれは覚悟の上。このような若輩者で恐縮ですが、あなた方や魔族の方たちと共に、これからこの国が良い方向を向けるように、力を尽くすつもりです。ベルケンド殿、ここで今、全ての禍根を断ち、我々との交流を新しく始めることを約束して下さいますか?」
「うむ……約束しよう。我々同じ大地に生きる者たちの未来のために。聖女たちの身柄に関しても、そなたらを信じてよいのだな?」
「ええ、早急にこの国でも法律を改め、皆様と意見を交換しましょう。全てがすぐに変わるいという訳にはいきませんが、必ずや」

 ベルケンド陛下とセーウェルト王国の第二王子はこうして硬く手を握り合う。
 セーウェルト王国と魔族の国ジュデットの友好が、今ここに始まったのだ――。
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