【WEB版】追放したくせに戻ってこい？ 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります！ めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく

　しかしそれは今となっては信憑性が乏しく、多くの周辺国家はジュデットとの交流を開き始め、表立って魔族に敵愾心を抱くような人も多くはないのが現在の実情だ。
　それでも未だセーウェルト王国内においては、魔族を招き入れた者、匿った者は厳罰に処される。つまり彼らが堂々としている時点で、ここはセーウェルト国内ではないと考えるのが妥当だろう。

　加えて室内の内装もセーウェルト王国のものとは似ても似つかず。
　おそらく彼らは嘘は言っていないと、判断するしかなかった。

　う～ん……これはちょっと、いやかなり困ったことになったのかも。

　命を助けてくれたのだから、多分悪い人たちではない。
　でも手放しで信用することはできそうになく、どうしたものかなぁと首を捻る私に、目の前の青年は邪気のない笑顔で申し出てくれた。

「とりあえずは安心してくれ。私たちは君に危害を加えるつもりは無い。身体がよくなり次第、元いたところに送り返してあげる」