【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
 殿下はぽりぽりと頬を掻くと、渋々と言った体で脱ぎ掛けた上着を羽織り直し、私に手を差し出した。

「それじゃ、朝食に行こう。父上も何か話したいことがあったみたいだしね」
「ええ……」
「「では私どももお供を」」
「ああ、頼むよ」

 そんな感じで、私たちは王族のための食堂へと移動していく……。


 
 王族専用の食堂に着いてみれば、もういつものテラス席には既に陛下と王妃が座っていた。

「申し訳ありません、お待たせして」
「構わんよ。新婚夫婦にとっては朝の時間は貴重じゃろうからな」

 申し訳なく思い頭を下げる私に、陛下はいつもの重々しい声で頷いてくれる。
 王妃は私たちの姿を見てしきりに褒めてくれる。
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