【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
まあ、その辺りは割とどうでもいいことで。
それよりも、今の私には皆と交わした約束を果たせたことの方が何倍も大事。
周りの皆を見て、戻ってこれてよかったと実感する私の元にベッカーが両手に籠満杯の陽炎草を持ちながら近づいてくる。
「ふう、これだけあれば、随分研究が薦められそうだ。ローエンも張り切っていたぞ。竜木の乾燥表皮を粉にしたものをベースにした薬と合わせ、いくつか試作品の配合を既に考えているらしい」
「へえ~、さすがローエンさん。となると、第一被験者はベッカー?」
「その前に何段階もの安全試験を突破する必要があるだろうがな」
本格的に薬として流通させるには、効果だけでなく毒性の検査や動物実験などを長い期間懸けて実行し、安全性を確立する必要がある。実用化にはまだまだ遠いけれど、いつか、白肌病の患者が健康な日常生活を送れる日もきっと来る。そう信じて私も出来る限り力を貸すつもりだ。
ベッカーが腰に手を当て、ううんと背中を伸ばした。
「さあ、もうひと頑張りするか。新しい籠を持ってくる」
「行ってらっしゃい」
それよりも、今の私には皆と交わした約束を果たせたことの方が何倍も大事。
周りの皆を見て、戻ってこれてよかったと実感する私の元にベッカーが両手に籠満杯の陽炎草を持ちながら近づいてくる。
「ふう、これだけあれば、随分研究が薦められそうだ。ローエンも張り切っていたぞ。竜木の乾燥表皮を粉にしたものをベースにした薬と合わせ、いくつか試作品の配合を既に考えているらしい」
「へえ~、さすがローエンさん。となると、第一被験者はベッカー?」
「その前に何段階もの安全試験を突破する必要があるだろうがな」
本格的に薬として流通させるには、効果だけでなく毒性の検査や動物実験などを長い期間懸けて実行し、安全性を確立する必要がある。実用化にはまだまだ遠いけれど、いつか、白肌病の患者が健康な日常生活を送れる日もきっと来る。そう信じて私も出来る限り力を貸すつもりだ。
ベッカーが腰に手を当て、ううんと背中を伸ばした。
「さあ、もうひと頑張りするか。新しい籠を持ってくる」
「行ってらっしゃい」