【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
 クリスが命じ、しっかり者のミーヤが王女の後ろに早足で続き、それを追うようにぞろぞろと護衛の兵士たちが並んでいった。
  
「ふふ、面白いものを見た。お転婆に育ってしまったミーミルも、レセル殿には形無しか」
「微笑ましいですね」

 日に日にシゼリカ王妃に似て美しくなるミーミルが、多くの貴族の心を掴むのもそう遠い未来ではないと思う。そんな彼女が自分に想いを寄せていることを、レセル様は気づいているのかな?

 彼はとても公平で、男女分け隔てなく接すことの出来る、非常に美しい心の持ち主であることは間違いないのだけれど……でもそのせいか、女性との距離感が時々ちょっと危うい感じがするのよね。多分わざとやっているんではないだろうけど、それがどれだけの貴族子女の心を刺激しているのか、多分、ご自身は意識されてない。

(敵は多そうよ! 頑張れ……ミーミル!)
「どうしたの?」
「ちょっと、義姉として念を送っておきまして」

 あははと空笑いする私に、クリスはよく分からないといった表情をする。う~ん……ある意味業の深い人たちだよね、美人っていうのは。
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