【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
◇
ダークレッドを基調とした城内。
行きかう人々に物珍しそうな視線で見られながら、殿下に抱かれた私はある一室へとたどり着く。
「失礼致します……」
ベッカーが声を掛け、脇に控えていた兵士が開けた扉から静かに入室すると……そこにはベッドに伏せる大柄な男性と、その手を握るひとりの女性の姿があった。
傍らに座るのは、柔らかそうな濃い紫の髪を後ろに流した、とても美しい女性だ。
顔を上げた彼女は弱々しい表情でベッカーを見上げた。
疲労の色がずいぶん濃く、心身をすり減らしているのがうかがえる。
「ベッカー……。陛下の脈がどんどん弱くなっているの。声を掛けてもあまり反応も返してくれなくて……。もう、どうにもならないのかしら」
ダークレッドを基調とした城内。
行きかう人々に物珍しそうな視線で見られながら、殿下に抱かれた私はある一室へとたどり着く。
「失礼致します……」
ベッカーが声を掛け、脇に控えていた兵士が開けた扉から静かに入室すると……そこにはベッドに伏せる大柄な男性と、その手を握るひとりの女性の姿があった。
傍らに座るのは、柔らかそうな濃い紫の髪を後ろに流した、とても美しい女性だ。
顔を上げた彼女は弱々しい表情でベッカーを見上げた。
疲労の色がずいぶん濃く、心身をすり減らしているのがうかがえる。
「ベッカー……。陛下の脈がどんどん弱くなっているの。声を掛けてもあまり反応も返してくれなくて……。もう、どうにもならないのかしら」