【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
直接の投与は濃度が高すぎて危険だ。
だから口元にわずかずつ薬を塗り、呼吸によってゆっくりと体内に浸透するのを待たなければならない。同時にベッカーに薬を十分に薄めたものを小さな釜で煮立たせ、蒸気にして吸わせることを提案しておく。
心配そうにのぞき込むシゼリカ王妃の隣で、ゆっくりとその薬で唇を湿らせるようにした。しばらく見守ると、浅かった呼吸が少しだけゆっくりになり……今まで青かった顔にわずかに赤みが差し始めた。
(魔族も体の構造は違わないはずだから、多分効くはず……)
頭がふらふらするが、こうなったら駄目押しだ。
病み上がりの私は聖女の力を発揮する。
「おお、それが聖女の治療術か。初めて見たぞ」
温かな光が手に宿り、押し付けた手のひらからゆっくりと陛下の体に流れ込んでいった。
ベッカーも感慨深げに呟く。
すると……陛下の瞼が震えるように動き、ほんのわずかに目を開けた。
「あなた!」「父上!」
「お前たち……。そなたは、医者、か……。少し、楽になった。礼を……言う」
だから口元にわずかずつ薬を塗り、呼吸によってゆっくりと体内に浸透するのを待たなければならない。同時にベッカーに薬を十分に薄めたものを小さな釜で煮立たせ、蒸気にして吸わせることを提案しておく。
心配そうにのぞき込むシゼリカ王妃の隣で、ゆっくりとその薬で唇を湿らせるようにした。しばらく見守ると、浅かった呼吸が少しだけゆっくりになり……今まで青かった顔にわずかに赤みが差し始めた。
(魔族も体の構造は違わないはずだから、多分効くはず……)
頭がふらふらするが、こうなったら駄目押しだ。
病み上がりの私は聖女の力を発揮する。
「おお、それが聖女の治療術か。初めて見たぞ」
温かな光が手に宿り、押し付けた手のひらからゆっくりと陛下の体に流れ込んでいった。
ベッカーも感慨深げに呟く。
すると……陛下の瞼が震えるように動き、ほんのわずかに目を開けた。
「あなた!」「父上!」
「お前たち……。そなたは、医者、か……。少し、楽になった。礼を……言う」