【WEB版】追放したくせに戻ってこい？ 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります！ めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく

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　王家の衣装部屋なんて当初は腰の引けていた私も、実際部屋を訪れると、目にした数々のドレスやアクセサリーについつい心を浮き立たせてしまう。

　とにかく凄い。見たことが無いものが一杯ある。
　ちょっと見慣れない形のものが多いのがまたいい。

　三角の金属枠で囲われた、星空のような輝きを放つ黒真珠の耳飾りとか、金の茨で縁を囲うようにした深い森のような色合いのメノウのブローチとか。

　スリットが何か所も入れられ、大きく背中側が開いたあの妖しい雰囲気の紫のドレスもちょっとセーウェルトではお目にかからない。私では着こなせないけど、あの王妃様だったらきっと似合いそう。　

「それではエルシア様」「お召し物を取り替えさせてさせていただきますわ」
「うひゃっ！」

　目を輝かせていた私を、言うが早いかミーヤとメイアはささっと下着姿にひんむくと、あれこれドレスを見繕い始める。その手早さには抗議する暇もない。