【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
そして陛下もゆっくりと頷く。
「そうじゃのう。セーウェルトも自国の聖女に尽くされるのが当たり前になり、あぐらをかいておるのじゃろう。さて、どうじゃろうかエルシアよ。我らはそなたに大きな恩を受けた。もし我々にその身を預けてくれるならば、そなたを鎖に繋ぐようなことはせず、自由な生活を保障しよう。もちろん、そなたがこちらにいることは向こうには分からぬように取り計らうし、万が一察知されるようなことがあろうと、絶対にそなたの身に危害が及ばぬよう守ってみせようぞ」
「ええと……」
私は言葉に詰まった。
セーウェルトでは、大聖女として任命された後はただただ仕事に忙殺される毎日だった。そしてそれを退いた今、私の価値は聖女の血筋を受け継いでいるということにしかなく、私個人を見てくれている人など、きっと誰もいない。
でもこの人たちは私に好意を持って、敵国との火種を抱えてまでも守ってくれるというのだ。ここでなら新しい人生を開けるのかも――そんな思いに私の目はついつい泳ぐ。
そこに王妃がすかさずやんわりと微笑んできた。
「そうじゃのう。セーウェルトも自国の聖女に尽くされるのが当たり前になり、あぐらをかいておるのじゃろう。さて、どうじゃろうかエルシアよ。我らはそなたに大きな恩を受けた。もし我々にその身を預けてくれるならば、そなたを鎖に繋ぐようなことはせず、自由な生活を保障しよう。もちろん、そなたがこちらにいることは向こうには分からぬように取り計らうし、万が一察知されるようなことがあろうと、絶対にそなたの身に危害が及ばぬよう守ってみせようぞ」
「ええと……」
私は言葉に詰まった。
セーウェルトでは、大聖女として任命された後はただただ仕事に忙殺される毎日だった。そしてそれを退いた今、私の価値は聖女の血筋を受け継いでいるということにしかなく、私個人を見てくれている人など、きっと誰もいない。
でもこの人たちは私に好意を持って、敵国との火種を抱えてまでも守ってくれるというのだ。ここでなら新しい人生を開けるのかも――そんな思いに私の目はついつい泳ぐ。
そこに王妃がすかさずやんわりと微笑んできた。