【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
「はぁい。とってもよろしいようで、ございまする~」
(……まする)

 私は額を手で押さえた。
 やや呂律が回らない口調の彼女はにんまりと口元を広げている。明らかに既に酔いが回ってしまっていた。迂闊だった、隣に座る私がそれとなく忠告してあげるべきだったか。

 彼女が正体を失くし、後々後悔する事態に陥ることになる前に。
 私は彼女と話したくて順番待ちしていた臣下たちに目配せすると、席に戻らせ、彼女に水を勧めた。

「大勢の人と話して疲れたでしょう。これでも飲んで少し落ち着いて」
「えぇ~? 私、酔っぱらってなんかないれすよ~?」
「駄目だよ。そういうこと言ってる時点でもう危ないんだから。ほら」

 強引にグラスを押し付けると、彼女は嫌々ながらそれを口にした。
 そうして宴を見守りながら、ほろ酔いの体でぼんやりと呟く。
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