桜ふたたび 前編
クリスは待っていたとばかりに席を移し、ジェイの首に腕を回して、互いの唇が触れあうほどの近さに顔を寄せ囁いた。
《半年ぶり？ ねえ、今夜は泊まっていくでしょう？》
《彼氏と鉢合わせは趣味じゃないな》
フフッと笑ったクリスは、ジェイの目を見つめたまま、苺を指でつまんでキレイな歯の間に挟み、ゆっくりと噛んだ。唇の端からツツっと果汁が垂れる。赤い舌先が艶かしく掬った。
《彼、今はツアーでロスにいる》
クリスは囁くように言う。
《ストーカーより、そっちの方が心配だな》
《もう少しの辛抱よ。慰謝料の折り合いさえつけば、彼も自由の身になれる》
《それならなおさら、身辺はきれいにしておいた方がいい》
クリスは艶やかに笑った。
《愛情とセックスは別でしょう？》
ジェイは確かにと苦笑した。
クリスは２粒目の苺を咥えた唇を、ジェイへ突き出した。
蠱惑的な眼差し、魅惑の唇、セクシャルな香水が男の脳髄を痺れさせる。舌を絡ませ濃厚なキスを交わしながら、クリスの白い指はしなやかに男のシャツのボタンを外してゆく。柔らかく濡れた唇を、はだけた胸板から滑り落として、クリスはふと怪訝な顔を上げた。
《疲れているの？》
《……》
いきなり上着を掴んで立ち上がるジェイを、クリスは体を乗り出して捕らえた。
《残りのシャンパンを全部私に飲ませるつもりなの？》
ジェイは手首を掴んだ指に目を止め、溜め息と共に再びソファーに腰を下ろすと、グラスに残ったシャンパンを一気に飲み干した。
クリスは新たに酒を注ぐと、太股に載せたクッションの上に頬杖ついて、シャツのボタンを留めるジェイの横顔をしげしげと見つめた。
やはりどこか雰囲気が違う。氷のようだった瞳に、少し温度があるような……。
《半年ぶり？ ねえ、今夜は泊まっていくでしょう？》
《彼氏と鉢合わせは趣味じゃないな》
フフッと笑ったクリスは、ジェイの目を見つめたまま、苺を指でつまんでキレイな歯の間に挟み、ゆっくりと噛んだ。唇の端からツツっと果汁が垂れる。赤い舌先が艶かしく掬った。
《彼、今はツアーでロスにいる》
クリスは囁くように言う。
《ストーカーより、そっちの方が心配だな》
《もう少しの辛抱よ。慰謝料の折り合いさえつけば、彼も自由の身になれる》
《それならなおさら、身辺はきれいにしておいた方がいい》
クリスは艶やかに笑った。
《愛情とセックスは別でしょう？》
ジェイは確かにと苦笑した。
クリスは２粒目の苺を咥えた唇を、ジェイへ突き出した。
蠱惑的な眼差し、魅惑の唇、セクシャルな香水が男の脳髄を痺れさせる。舌を絡ませ濃厚なキスを交わしながら、クリスの白い指はしなやかに男のシャツのボタンを外してゆく。柔らかく濡れた唇を、はだけた胸板から滑り落として、クリスはふと怪訝な顔を上げた。
《疲れているの？》
《……》
いきなり上着を掴んで立ち上がるジェイを、クリスは体を乗り出して捕らえた。
《残りのシャンパンを全部私に飲ませるつもりなの？》
ジェイは手首を掴んだ指に目を止め、溜め息と共に再びソファーに腰を下ろすと、グラスに残ったシャンパンを一気に飲み干した。
クリスは新たに酒を注ぐと、太股に載せたクッションの上に頬杖ついて、シャツのボタンを留めるジェイの横顔をしげしげと見つめた。
やはりどこか雰囲気が違う。氷のようだった瞳に、少し温度があるような……。
