━小さな世界━
第二章

竜也

ホスト集団が来店された次の日の仕事終わりに
私は指名してくれたホスト『翼』からもらった名刺に書いてある住所を頼りに店を探した。

ドキドキしながら
路地を曲がりひとつひとつビルの名前を確認していく。

アジアンビル……アジアン………

『あっ!!あった!!えっと………6階………6階………』
緊張のあまり独り言が増えてしまう。

『あっ!!あった!!ピグレット………』

看板を見つけ更に緊張は増し足がすくむ………。

ゆかりについてきてもらえばよかったかも……。

実は私、ホストクラブって初めてなんだよねぇ……。

ビルの前で携帯を眺めながら店に行くかどうするか……考え中………
『おねいさんなにしてるの??』
私に話かけてるの?!
そう思いながら
声の主のほうに顔を上げた。
頭はライオンみたいにツンツンさせてスーツの下のひょうがらのシャツはボタンが胸元まではだけていて
真冬なのに寒くないのか?!
と聞きたくなる程の薄着。
『俺さぁー!!この近くでーホストーしてるんだけどーちょっとー飲みにーこないー?』
語尾を無駄に伸ばしすぎなしゃべりかたが鼻につく。
『けっこうです!!』

私は無愛想に返事をして首を横にむけた。
『えー!!つめたくなぁーい??僕チンー客つれてかないとー怒られるんだよー!だからーおねいさんー人助けだとー思ってー一緒にー来てくんなぁーい??』

えっ?!今僕チンって言った?!
まじキモイんですけど。
しつこいんですけど。

シカトして私は思わずビルのエレベーターに飛びのってしまった。

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