魅惑的だよ君は

ー待たせちゃってるかも…ヤバいヤバい…
早歩きの中に小走りを交えながら最寄駅に向かうと
改札の奥でこちらを見ている人がいた


女の子みたいなクリクリした目と端正な顔立ち
両耳にシルバーのピアスを付けていて
一見、怖そうな見た目だけれど
運動神経抜群の人懐っこい犬系男子


「亜美(あみ)、もう電車来るよ…!」
改札の向こう側から少し大きな声で呼ばれた

ぷくっと口を膨らませながら
わざと怒っている風に見せたその人は
高校生の時からの友人、群司(ぐんじ)


〜♪〜♪〜
『まもなく電車がまりいます-----』

私は慌てて改札を通った時、
今まさに電車が到着してしまった

ガタガタッと電車の扉が開いた音がしたけれど、
ーなんとか間に合いそう…‼︎

なのに…駅のホームに群司の姿が見当たらない‼︎

1秒も待っていられないこの瞬間に
ーどこに行ったの⁉︎

次の瞬間…
「亜美!ここだよ…!早く‼︎」
電車の中から手を伸ばす群司

思わずその手を取り電車に飛び乗った瞬間に
ふわりと髪がなびいて、バタンッと扉が閉まった


ーギリギリ間に合った…
と安心したのも束の間、
「亜美、間に合って良かったね」
と頭の上から聞こえる声

私は電車に飛び乗った勢いで郡司の手を掴んだまま、
胸に中に飛び込んでしまっていたようだ

声のした方を向くと群司と目が合ってしまい、
慌てて手を放し一歩下がる

「あ!ごめん、ありがとう…」
気恥ずかしくて、群司の顔を見られない

すると群司は私の顔を覗き込んで
「うん、どういたしまして」
とキラキラとした目で微笑んだ

これが彼のいつも通りの姿だが
まさに王道アイドルのような雰囲気で
ーそういえば高校生の頃はファンクラブがあったんだった…
と思い出した
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