俺が必ずこの女を殺す
首を傾げて何度も何度も私はママに尋ねている。

「きょうは、おしごと、いかないのかなぁ?」

「…」

「ママー、ママー。」

「…」

ボー、とするママは、いつものママとは違っていた。幼い私のただただ素朴な疑問には一切答えてくれなかった。

***

葬式が終わって、日が経つことに、私もだんだんと分かっていっていた。

パパはもう、家に帰ってこないんだ、と。

「またゆうえんち、いきたいなー。」

家でしょぼん、ってするママを元気づけたくて、私はわざとニコニコして言った。

「みおながいるから、だいじょぶだよ」

ベタベタと、ママに触って早く笑ってくれないかな、って考えていた。

だけど…

「竜さん…、なんで……」

ボソッ、とそう呟くママはパパの仏壇の前から一向に離れてくれなくて、いつからか魂が抜けちゃったみたいになってた。

「ママー…」

次第に、もうなんて声をかければいいか私も分かんなくなっちゃって。

そんなある日。

「澪奈。おいで…」

最近では目すら合わなかったママが私を見て優しく微笑んだ。
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