俺が必ずこの女を殺す
よくよく考えればかなり有利な状況だ。

こいつを俺の家に持って帰っていいのなら
そこで殺せば何かと都合がいい。

俺は眉を下げて答えた。

「そう、ですね…。俺も澪奈に忘れられてしまって悲しいです。是非、そうさせて下さい」

俺はベッドに不安そうに横たわる女に
優しく微笑んだ。

「澪奈。一緒に帰ろう」

「…」

作り笑いも、いかにも優しそうな彼氏感も、もちろん叔母へのパフォーマンス。

「優しそうな彼で良かったわ」

「そんなことありませんよ」


めんどくさい事に、
経過を見る為だとかなんとかで
女の退院は3日後に決まった。

まぁ、焦ることは無い。

これも任務を無事遂行するための下準備だ。

女の目が覚めてから退院までの3日間。

俺は

‪”‬怪しまれないようにする‪”‬

ただそれだけの為に女の彼氏を演じ続けた。

看護師にも叔母にも顔を見られたからには、慎重にいく。

女の目が覚めたあの日以来、叔母は病院にめっきり姿を見せなかったが退院の日、退院の手続きがある、だとかで一瞬会ったので軽く挨拶した。

「では澪奈さんは俺が責任持ってお預かり致しますね」

「えぇ。あなたのこと、思い出すといいわね」

よし。女ゲット。

こんな穏便に、事が進むとはな。

帰ったらすぐさま殺して、任務完了だ。
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