俺が必ずこの女を殺す
出来ることなら今すぐにでも思い出したい。

どうやって出会ってたのか。

どこで出会ったのか。

知りたいことはたくさん胸の中でひしめいていた。

一つ一つ。
柚季に聞けたらそれはそれでいいかもしれないけど、きっと2人にとってかけがえのないもの大切な思い出だったと思うから…、やっぱり自分の力で思い出したい。

ママとパパの記憶を思い出せたように。

柚季との記憶も……。

「あぁ〜、なるほど、そういうことだったんですね」

雨が小さな声で、「これは柚季さんの‪”‬杞憂‪”ですね」と呟いたので聞き返す。

「きゆう、ってなんですか?」

「あ、いや!?なんでもないです!」

【杞憂】
※心配しないでいい事を心配すること。とりこし苦労。

「あ」

何かひらめいたかのように短く声を発した雨は続けた。

「最近見たヒロインが記憶喪失になっちゃうドラマでは…!エッチしたら相手のこと思い出してましたね」

「エッチですか…!?そんな……っ、はしたないことで……っ?」

性知識のない私にとってエッチなんて、雲の上の上の上のようなもの……。

なんなら勝手に‪”‬ばっちぃ…‪”‬とまで思ってしまっていた。
< 138 / 230 >

この作品をシェア

pagetop