俺が必ずこの女を殺す
おでこに軽い痛みが走って、目を開いた。

「震えてる。無理すんな、って」

視界には優しく穏やかな顔の柚季が映って、唇を引き結んだ。

「むっ、無理なんて……してな─── 」

「焦らなくていいから。な?」

そう言って体を起こした柚季は私をギュー、と抱きしめた。

「…っ、」

自分から誘っといてあれだけど……

本当は、


…………………………少しだけ怖かった。


そんな…口になど一切出ていない本音を、この一瞬で柚季には見抜かれてしまったようだった。
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