俺が必ずこの女を殺す
おかげでここから見えるはずの澪奈の座っているベンチがちょうど人混みで隠れ、視界から外れてしまった。

まぁ…、さすがに少しの間なら大丈夫か。

こういう待ち時間でさえも澪奈はワクワクしてくれている気がして、そう考えたら、俺まで嬉しくなった。

ただ購入するだけのつもりだったが、プレゼント用にでもしてやるか……。

ふと思い立って、店員にクリスマス用の包装をしてもらうことにした。

***

「澪奈……?」

人混みの中、ポツリ、と腑抜けた声が漏れる。

購入したばかりのさっきあいつが欲しがったキーホルダーは可愛く包装され、カサカサと音を立てる紙袋の中で揺れていた。

だけど危うく地面に落としそうになる。

………………いない。

なんでだ……。

会計を済ませ、澪奈が座っているはずのベンチに戻ると、そこに澪奈の姿はなかった。

土石流のように猛スピードで不安がよぎっていくのを感じた。

「澪奈…!」

勝手に動いたのか……?

いや……。

今までのあいつを見てきた俺からしたらそれだけはないと思ってしまった。いつだってあいつは、俺の言ったことを守って​─────…

くれていた、と思いかけた所だったが、入るな、って言ったのに勝手に洗面所入ってきたこともあったし、……守っていないことも多々あったかもしれない。
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