俺が必ずこの女を殺す
踵をずるようにダラダラと歩き、気だるそうに澪奈の前にしゃがんだ総長は寝転ぶ澪奈の顎先をグイッ、と持ち上げながら俺を流し見た。

……俺たちの関係にどうせ勘づいているのだろう。

「触らないで!」

ペちっ、と音が聞こえたかと思ったら澪奈が総長の手を払っていた。

「嫌い!みんなかっこよくない!ゆずきが1番かっこいい!」

澪奈ー…………

嬉しいけど…、今それを言ったらまずいんだよー……。

これ以上総長の機嫌を逆撫でしてしまったら何をされるか分かったもんじゃない。

空気を読まずして放たれた澪奈の言動に静寂が訪れる。そんな中声を上げたのは総長だった。

「ふぅん。あっ、いいこと思いついた」

なんてことないみたいな、そんな軽々とした口調だ。

「……っ、」

「ちょうど溜まり場変えようかと思ってたんだよ。下っ端の奴らがヘマばっかしてサツに目、付けられてるっぽいからさ」

面倒臭そうにそう言った総長がどこからともなく持ち出してきたのは……

「ただ殺すだけじゃおもしろくないもんねっ。これでも試すか。次の奇襲で試そうと思ってたんだよ」

「…っ、」

…………………………爆弾だった。

筒のようなものが束ねられそこに括り付けられた数字……恐らく制限時間は【15:00】と表示されていた。止まったままだ。
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