俺が必ずこの女を殺す
しかし……

総長がポケットから取り出したスイッチをカチッ、と押すと【15:00】の表示が【14:59】と徐々にカウントダウンをはじめた。

嘘だろ……

絶望の縁に立たされたような感覚だ。

でもすぐに澪奈をここから連れて逃げれば​──────…

なんて甘い考えはすぐに打ち砕かれた。

「ゆず…っ、きゃあ…っ」

総長が澪奈に再度近づき、そのまま手首を掴み引きずるようにして近くの柱に連れて行っていた。

手足をバタバタして引きずられる澪奈は俺の方を見て必死に助けを求めていた。

「総長……っ、何を​────」

ーーカチャ……

直後。既視感が走る。
総長が澪奈の両手を後ろ手に組み、柱と共に手錠を掛けたのだ。ちょっとの力しか持っていない澪奈は呆気なく拘束されてしまう。

「せいぜい最後まで楽しむといいよ。あと。ちゃんと僕に逆らったことも悔やむんだよ?……ほら、行くぞ」

手をヒラヒラと振りながら総長は幹部を引き連れこの場から立ち去っていった。彼らの背中が見えなくなった頃。……俺は察した。

ここにあるのは、多分そこそこの威力を持つ爆弾と……、身動きの取れない澪奈。

俺が澪奈に情が湧いていることを知っての卑劣な手段だ。
< 203 / 230 >

この作品をシェア

pagetop