俺が必ずこの女を殺す
要は…

一緒に死ぬか。見捨てるか。

選べ、ということだろう。

ーーピッピッピッピッ……

カウントダウンの機械音が鼓膜を刺激する中。俺は傷だらけとなった体を起こし、多分折れているであろう足を引きずって澪奈の元に向かった。

「澪奈…っ、…大丈夫か…っ…」

ピタリ、と柱に背をくっつける澪奈は俺を見て瞳をうるうるさせた。

「ゆずき…っ、血、出てる……っ、大丈夫っ??あの人たちにいじめられてたの??」

何もこっちの事情なんて知らない澪奈の心配な顔が心に染みる。

「……なんでいるんだよ…」

ついこぼれおちたその言葉に澪奈が口をへの字にした。

「朝起きたら…っ、ゆずきいなくて寂しかった」

「ぐすん…っ、勝手についてきちゃった……っ、お外出て、怒ってる……??…ごめんねっ、ぐすん…っ、ごめんね」

何度もごめんね、を口に出す澪奈はきっと10数分後には死ぬかもしれない、というこの危機的状況が全く理解出来ていないんだろう。ただこいつに今あるのは俺が怒る、か怒らないか、の心配だけだ。

「怒って……ねぇよ。そうか…。ついてきちゃったのか……、」

「うんっ…、ごめんね」

「謝んなくていいから……」
< 204 / 230 >

この作品をシェア

pagetop