俺が必ずこの女を殺す
【澪奈side】

「ちょっと飲み物買ってくるわね」

「うん!」

ティアラちゃんが病室から出ていき、病室には柚季と2人きりになった。

柚季……あの総長、って人と喧嘩しちゃったみたいだけど大丈夫なのかな?

男の喧嘩は殴ってなんぼだ!ってティアラちゃん言ってたけど柚季ボロボロになっちゃった。

「ゆずきー……」

「ん?」

ベッドに横たわる柚季を覗き込む。

しばらくは体は起こせないみたい。

この1ヶ月「ゆずきー」って、どれだけ名前呼んでも返事してくれなかった。

だから「ん?」って返事が嬉しくて安心したからか徐々に鼻の奥がツーン、となっていった。

「ずっと目覚ましてくれないから死んじゃったかと思って悲しくなっちゃった」

考えてもみなかった。柚季が死んじゃったら、なんて…。

もしそうなったら、って想像しただけで最近は大好きなラムネも喉を通らなかった。

「ひとりぼっちにしない、って言ったのに…、ごめんな」

頭にそっと手が置かれて、今までしてくれたのと同じように撫でられる。

だけどすぐにその体温は離れていって弱々しく天井を見上げた柚季は何か難しいことでも考えているかのような表情で口を開いた。

「ごめんな、澪奈」

またポツリ、と謝った柚季は少しの間を置いて続けた。
< 219 / 230 >

この作品をシェア

pagetop