俺が必ずこの女を殺す
「かわい子ちゃん〜。あたしがお姫様抱っこしてあげるよ〜♡」

「ほんとっ?」

「うん!おいでー」

甘い蜜に釣られるようにホイホイとティアラの胸に飛び込む澪奈。ひょいっ、と軽々しくお姫様だっこしたティアラが勝ち誇ったかのようなご満悦の表情で俺をチラリ、と見た。

口に出さずとも伝わってくる。どうせ「いいでしょ♡」と思っているに違いない。

もちろんお姫様だっこなど今の俺に出来まいが、…………してやりたい衝動に駆られる。

前、雨とベタベタしてた時に他の男に触らせんなよ、って言ったのに……!妬くって言ったのに……!

と思うが澪奈がティアラを同性と認識しているのなら……、、

あぁ、そうか。

俺以外の人間に触らせんなよ、って言えば正解だったのか。今度ちゃんと言おう。

そんな決意を込めて、真横で繰り広げられるティアラと澪奈の楽しそうな笑い声と共に、あのボロアパートに帰っていった。

***

やがて年が明け、冬休みが開けた頃。
まぁサボりまくってる俺に何とか休みの存在はあまり関係ないが、一応皆勤賞で学校という名の空き教室には顔を出している渚と香澄には関係がある。

俺の足もすっかり治り、今では以前と同じ生活を取り戻しつつあった。いや、多分以前よりももっと穏やかな生活だ。
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