俺が必ずこの女を殺す
「柚季ー、あんた大丈夫なワケ?」

「あぁ、もうだいぶな」

入院中ちょいちょい顔を出してくれた2人はドン引きの面持ちで俺を見つめる。怪我の有様が酷かったことを思い出しているに違いない。

「あけましておめでとーっ」

「澪奈ちゃーん。おひさー」

「あけおめー」

しかし澪奈という存在にコロリ、と表情を一変させた。澪奈はこの古びた空き教室にもたらす水源のような…もはや、”‬癒し‪”‬の存在となりつつある。

「あ!今までで1番上手だよ!」

「やったー」

今日も空き教室で澪奈の字の特訓が行われていて、俺は無造作に散らばった椅子の1つに座って様子を見ていた。

「ほら、柚季も見てみなよー」

どうやら澪奈が何か書けたようで、香澄が俺に手招きした。

どうせ下手くそなのにまた褒めてんだろ、と思いながらもどれどれ…、と見てみる。

「…っ」

視界が若干緩む。

それは、はじめて澪奈の字が読めた瞬間だった。











【 ゆ ず き 】








まだだいぶ汚いけど…、ちゃんと読めた。
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