俺が必ずこの女を殺す
看護師に促されるまま、俺はベッド横のパイプ椅子に腰掛ける。

「この子おもしろいのよ。意識戻らないのに手、握ってくるのよ!」

「はい?」

「ほら!こうして…っ」

看護師は半ば強引に俺の手を取り、女の手の平に持っていった。

女のひんやりした手の感覚が俺の右手に走る。

「どう!?ギュ!ってされない?」

なんだこのハイテンション看護師は…。

「別に……されま…」

ーーギュ!

うわ!

その時だった。

女が思いっきり俺の親指に力を込めたのだ。

目は瞑ったままなのに……。

「ねっ!されたでしょ!可愛いわよね!」

いや……可愛い、というより…

力つっよ!!!なんだこいつ!

ちょっとやそっと引っ張っただけじゃ全然抜けなかった。

「ちょっとー染谷さんーっ」

「あっ、はーい」

ちょうどそこでハイテンション看護師は同僚か誰かに呼ばれ病室を後にした。。

後にした、はいいが…。

こいつーーーーーー!!

ぜんっぜん手!離さねぇじゃねぇか!!もう!

は、な、せ!!

罠に引っ掛かった気分だ。

それから数分グイグイ引っ張ってみたが全然ダメ。

時刻は消灯間際の午後9時55分。

あぁーーーーー!早く離せよ!
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