俺が必ずこの女を殺す
なんて都合のいい展開。

「あぁー…、実はそうなんです。…はい。」

「やっぱりー!もしかして昨晩はずっと付きっきりで?」

「あぁ〜…まぁ、……」

「あ、れ……?澪奈、目、覚めたの?」

そこで母親らしき女は、ベッドの方をチラッ、と見て俺に尋ねた。

「あ、あぁ、今さっき……」

「あら、大変。先生呼ばなきゃ」

それから母親らしき女はナースコールを手にし、担当医を呼んだ。

***

「澪奈ちゃん、分かるー?」

「…」

女が医者に検査されている間、その隣で俺は母親らしき女と喋っていたのだが……

「私?私母親じゃないわよ?」

「え?」

「澪奈の両親は澪奈が幼い頃に他界してね。私は澪奈の叔母。まぁ……保護者ね」

別に聞くつもりは無かった女を諸事情を聞いていると白ひげを生やした医者が深刻そうな顔で俺達の会話を妨げた。

「あの、ちょっといいですか」

「はい?」

「澪奈ちゃんどうやら記憶が、ないみたいで」

「記憶が?」

「事故の際、頭を強く打ったみたいですからね…」

「あら……そうなの…」

医者と叔母の会話を他人事で聞いていた俺は
ふと気になって口を開いた。
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