破壊
「いつまで待たせんの? 早くしろよ」
傲慢な口ぶりと睥睨するような眼差し、グレアに気圧され、息が切れた。怒らせた。苛立たせた。謝らなければという衝動に駆られ、思わずごめんなさいと口走る俺に唾を飛ばす谷坂は、謝るくらいなら早くしろ、SubがDomの命令を拒否してんじゃねぇ、と身勝手な言い分を吐露する。飛んできた唾が、顔にかかった。拭った。舌を打たれた。
早くしろと急かされ、早くしないとまた足蹴にされると思い、俺は拒絶を示すこともできず、ふらふらとその場に四つん這いになった。そうしなければならないと思った。そっちの方が大事だと思った。褒められたい、褒めてくれると僅かな希望を抱いて。俺は谷坂の、椅子になった。
「そうだよ。素直に従えば済む話だろ」
イライラしていたものの、どことなく満足そうな顔に変化した谷坂を見て、これで正解だったのだ、最初からこうしておけば善くしてくれたのだ、と直接的な言葉はなくとも褒められた気分になった。それがSubだった。それで欲求が満たされるのが、Subだった。
Subを自分の思い通りに動かしていることに気持ちよくなっている様子の谷坂が、四つ這いになって床を踏む俺の背中に平然と腰を下ろした。口から呻き声が漏れる。崩れ落ちそうになると、しっかりしろよ、と頭を叩かれた。しっかりしないと。撫でてはくれない。
谷坂を下で支えながらも、支えないといけないと思いながらも、まだ中途半端に残っている理性が、誰にも見られないように顔を俯かせ、自分の唇を噛むという行動を促す。羞恥や屈辱を感じるくらいなら、いっそのこと壊れてしまった方がいいように思えた。
傲慢な口ぶりと睥睨するような眼差し、グレアに気圧され、息が切れた。怒らせた。苛立たせた。謝らなければという衝動に駆られ、思わずごめんなさいと口走る俺に唾を飛ばす谷坂は、謝るくらいなら早くしろ、SubがDomの命令を拒否してんじゃねぇ、と身勝手な言い分を吐露する。飛んできた唾が、顔にかかった。拭った。舌を打たれた。
早くしろと急かされ、早くしないとまた足蹴にされると思い、俺は拒絶を示すこともできず、ふらふらとその場に四つん這いになった。そうしなければならないと思った。そっちの方が大事だと思った。褒められたい、褒めてくれると僅かな希望を抱いて。俺は谷坂の、椅子になった。
「そうだよ。素直に従えば済む話だろ」
イライラしていたものの、どことなく満足そうな顔に変化した谷坂を見て、これで正解だったのだ、最初からこうしておけば善くしてくれたのだ、と直接的な言葉はなくとも褒められた気分になった。それがSubだった。それで欲求が満たされるのが、Subだった。
Subを自分の思い通りに動かしていることに気持ちよくなっている様子の谷坂が、四つ這いになって床を踏む俺の背中に平然と腰を下ろした。口から呻き声が漏れる。崩れ落ちそうになると、しっかりしろよ、と頭を叩かれた。しっかりしないと。撫でてはくれない。
谷坂を下で支えながらも、支えないといけないと思いながらも、まだ中途半端に残っている理性が、誰にも見られないように顔を俯かせ、自分の唇を噛むという行動を促す。羞恥や屈辱を感じるくらいなら、いっそのこと壊れてしまった方がいいように思えた。