龍は千年、桜の花を待ちわびる
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「今更だが、本当にあの娘で間違いないのだろうな?」


街へと消えていく2人の背中を見つめながら、皇帝は空に訊いた。


「うん…。召喚の時、扇子(せんす)()べた…。空の宝物…。」


それを聞いて、皇帝と皇后は顔を見合わせて困ったように笑った。


「そういえばあの2人、歩いて行くのですね。馬や馬車でも使えば良いのに…。」
「…皇憐が、歩くって…。」
「まぁ。」


皇后は口元を袖で隠しながら笑った。


「我らは彼らの想いが成就するよう、祈るとしよう。」


皇帝はそう言って(きびす)を返し、宮中へと戻って行った。皇后もそれに続き、空は皇憐と結が向かった方向をしばらく見つめていた。
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