龍は千年、桜の花を待ちわびる
「びっくりさせたな。」
皇憐は私に駆け寄ると、私に目線を合わせてしゃがみ込んだ。私はいつの間にかその場にへたり込んで呆然としてしまっていた。
「皇憐…。」
「大丈夫か?」
「うん…。」
びっくりしたことは沢山あった。熊自体にも、怨念?とやらにも、力を使える皇憐にも。
だけど何より、初めて死を目の当たりにした。
「あんな風に生き物が死ぬところ、初めて見た…。」
私の周りは幸運なことに皆健在で、葬式に列席したことはあるけれど、亡くなる瞬間を見たわけではない。
ペットも飼ったことがないし、映画なんかではそういうシーンは見たことがあるけれど、それとは全くの別物だった。
こんなに衝撃的なものだとは思わなかった。こんなに、アッサリと死んでしまうものなのか。
皇憐は私の頭をそっと撫でた。
「お前は幸福に育ったんだな。よかった。」
皇憐の顔を見ると、皇憐はただ優しく笑っていた。
「立てるか?」
「うん…、もう大丈夫。ありがとう。」
「さて、行くか!」
そう言った皇憐は、宮殿から持って来た荷物に加えて、先程仕留めた熊を豚の丸焼きのように棒に括り付けて肩に担いでいた。
「持って行くの!?」
「何のために仕留めたと思ってんだ、貴重な食料だぞ。」
「いや、えっと、それならせめて解体とか…。」
「後で飯作る時にな!」
なんてめちゃくちゃな…。本当に人間とは重さの基準が違うようだ。
さすがに申し訳ないので、宮殿から持って来た荷物のうち軽い方を持たせてもらった。確かにあまり重くはないけれど、軽いかと言われるとそんなことはない。
「無理すんなよ?」
「うん。」
これは早々に荷物をお返しすることになりそうだ。そして、皇憐の方を向く度に熊が視界に入るのが少し心苦しい…。
「で。」
「え?」
「何から聞きたい?」
皇憐は優しく笑ってこちらを向いて言った。
こうした気遣いができるあたり、やはり悪い人には思えない。むしろすごく良い人なのでは…。
「とりあえず、怨念…かな…。」
苦笑しながらそう答えると、皇憐も「だよな」と苦笑した。
「怨念自体は分かるな?」
「怨みとかでしょ?」
皇憐は1つ頷くと、前を向いた。正確には、少し目線を上に上げて、空を眺めているようだった。
遠くを見つめる目だ。…そういえばこの人、何年生きているんだろう。何を見てきたんだろう。そんなことを考えながら、その横顔を見つめていた。
「今でこそ平和なこの桜和国だが、1500年前には桜和国なんて国は存在しなかった。今の形になったのは、そうだな…、大体1300年くらい前だな…。今の桜和国の始皇帝がここら一体の国を武力で統制したんだ。」
やっぱり、どの世界でもそういった血生臭い歴史は共通なのか。
「ひどいもんだった…。そこら中血塗れ、腐臭が漂い、死体が転がってるような…。」
少し想像しただけでも胃がムカムカしてしまう。
皇憐は私に駆け寄ると、私に目線を合わせてしゃがみ込んだ。私はいつの間にかその場にへたり込んで呆然としてしまっていた。
「皇憐…。」
「大丈夫か?」
「うん…。」
びっくりしたことは沢山あった。熊自体にも、怨念?とやらにも、力を使える皇憐にも。
だけど何より、初めて死を目の当たりにした。
「あんな風に生き物が死ぬところ、初めて見た…。」
私の周りは幸運なことに皆健在で、葬式に列席したことはあるけれど、亡くなる瞬間を見たわけではない。
ペットも飼ったことがないし、映画なんかではそういうシーンは見たことがあるけれど、それとは全くの別物だった。
こんなに衝撃的なものだとは思わなかった。こんなに、アッサリと死んでしまうものなのか。
皇憐は私の頭をそっと撫でた。
「お前は幸福に育ったんだな。よかった。」
皇憐の顔を見ると、皇憐はただ優しく笑っていた。
「立てるか?」
「うん…、もう大丈夫。ありがとう。」
「さて、行くか!」
そう言った皇憐は、宮殿から持って来た荷物に加えて、先程仕留めた熊を豚の丸焼きのように棒に括り付けて肩に担いでいた。
「持って行くの!?」
「何のために仕留めたと思ってんだ、貴重な食料だぞ。」
「いや、えっと、それならせめて解体とか…。」
「後で飯作る時にな!」
なんてめちゃくちゃな…。本当に人間とは重さの基準が違うようだ。
さすがに申し訳ないので、宮殿から持って来た荷物のうち軽い方を持たせてもらった。確かにあまり重くはないけれど、軽いかと言われるとそんなことはない。
「無理すんなよ?」
「うん。」
これは早々に荷物をお返しすることになりそうだ。そして、皇憐の方を向く度に熊が視界に入るのが少し心苦しい…。
「で。」
「え?」
「何から聞きたい?」
皇憐は優しく笑ってこちらを向いて言った。
こうした気遣いができるあたり、やはり悪い人には思えない。むしろすごく良い人なのでは…。
「とりあえず、怨念…かな…。」
苦笑しながらそう答えると、皇憐も「だよな」と苦笑した。
「怨念自体は分かるな?」
「怨みとかでしょ?」
皇憐は1つ頷くと、前を向いた。正確には、少し目線を上に上げて、空を眺めているようだった。
遠くを見つめる目だ。…そういえばこの人、何年生きているんだろう。何を見てきたんだろう。そんなことを考えながら、その横顔を見つめていた。
「今でこそ平和なこの桜和国だが、1500年前には桜和国なんて国は存在しなかった。今の形になったのは、そうだな…、大体1300年くらい前だな…。今の桜和国の始皇帝がここら一体の国を武力で統制したんだ。」
やっぱり、どの世界でもそういった血生臭い歴史は共通なのか。
「ひどいもんだった…。そこら中血塗れ、腐臭が漂い、死体が転がってるような…。」
少し想像しただけでも胃がムカムカしてしまう。