龍は千年、桜の花を待ちわびる
それから1年と少し。

18歳になった秀明と私は無事結婚を果たした。私たちの目論見通り、反皇憐派は私を認めざるを得なかった。


それから少しの後、私は第一子を授かった。第一子出産の後、秀明は皇帝、私は皇后の座に着いた。
前皇帝は隠居前に、国を怨念騒動前に近しい状態まで戻してくれいていた。けれど、それでは足りない。


私たちは鬼たちを各地に派遣することにした。


「定期的に報告には来てもらうけど、基本はそっちに住んでもらう形でお願いしたいんだ。怨念自体は自然発生するものだから、もしまた何かあれば対応してもらいたいというのが1つ。もう1つは、ちゃんと見てるよって民に示せるからね。」


もちろん各地方には領主もいるが、領主の監視にもなる。今回の一件で鬼の地位はそれほどまでに高くなり、国民からの信頼も獲得したのだ。


「空は宮殿に残ってもらってもいいかな、君には僕の研究を手伝ってもらいたいんだ。」
「分かった。」


彩雲以外の2人も宮殿に残って秀明の研究を手伝うこととなった。

彩雲は、焔について行くらしい。


「北が1番厄介かと思いきや、なぜか南が1番厄介でしたからね…。少しでもお力になれれば。」


そう言っていた。


彼らは各地に派遣されても月に1度は首都へ集まった。そのためあまり寂しさは感じなかった。


私はといえば、皇后がそれ程まで公務なんてという声を跳ね除け公務に励みつつ、最終的に6人の子を儲けた。

当時はそのうち3人成人すれば良い方だったが、6人の子どもたちはスクスク育ち、全員が無事成年を迎えた。


それは私たちだけに限らず、国中の子どもの生存率が跳ね上がったのだ。


資料を見ながら、秀明は「『龍の加護』かな」なんて優しく笑いながら呟いていた。
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