佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
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晴れて恋人同士になった2人。しおりは、このまま抱き合うのかとドキドキしていたのだが、そこは、大人の零士だった。
「ここまで我慢したからな。しおりが俺に抱かれたいと思うまで、無理強いはしない。心はもらったから満足だよ。今は、旅行を楽しもう」
そう言われて、抱いて欲しいと誘えるほど、しおりは経験値はなく、少しだけホッとしたのだ。
その様子を零士は視界に捉えていた。
正式に恋人関係になり、自分から誘い抱くことは簡単だが、前の男を待つぐらいの女だから、きっと、男から誘われるまで待っていたに違いなく、それでは零士の思惑通りの関係にならないのだ。
そう、零士にとって、抱かれるのを待つ女ではなく、自ら抱かれたいと大胆に誘惑できる女になってもらいたいと思っている。
前の男と比べられるなんてまっぴらなのだ。
だから、最初が肝心で、前の男を思い出す暇もないほど、焦らして、誘惑して、トロトロに堕ちそうなところで引き離し、じれて自ら抱かれたいと行動を起こすまで。
自分へのご褒美は、もう少し先になるだろうとふんでいる。
そんなことを脳裏に浮かべている零士とは知らないしおりは、零士の優しさに、またキュンと心を震わせるのだ。