佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

零士の首に抱きつき、顔を上げて唇に触れたしおり。

今までなら、触れてしまえば零士から積極的に唇を甘く愛撫して触れ合ってくれるのだが、今は、何もせず受け身でいる。

(どうして?)

戸惑うしおりは、目を見開き零士の目を見つめるのだが、優しく目で笑うだけで、その先に進む気はないらしい。

チュッ、チュッと誘うのだが…

じれてしまったしおりは、自ら零士の唇を甘く喰み、舌先で唇をなぞるのだ。

開いた唇の隙間に待つ零士の舌先が、チロリとしおりの舌先をなぞるのだが、零士からキスをやめられてしまった。

どうして?と恨みがましく目を向ければ、頭を撫でられ抱きしめられる。

「ストップ。さっきの余韻残ってんだ。今はそれ以上はキツイから、な。我慢できなくなる」

服越しでもわかる昂りをお腹に当てられ、あわあわと視線を彷徨わせるしおりだった。

しおりとのキスで、十分に興奮してくれているのは前から知っていたが、こんなふうに大胆に腰を当てられると、しおりの中に湧き起こる疼きと感情に動揺してしまっていた。

「…露天風呂でも入ってくるわ」

しおりの体を離し、苦しそうな表情で笑いごまかす姿に、しおりの心はキュンキュンと締めつけられる。
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