佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
しおりの肩におでこを乗せて、甘く掠れた息を吐くのだ。
ごくりとしおりは息をのんだ。
零士の今の状態は、キスどころの話じゃないと、思われるからだ。
「まだ我慢する。するから…触れることは許して。じゃないと、どうなるかわからないよ」
脅しとも言える甘い誘惑は、零士の唇がしおりの首筋をなぞりだしたことから始まった。
湯の中、零士は今まで手加減していたと思わせるぐらい、しおりの体を昂らせるのだが、そこまでだった。
「はぁー、可愛い、もっと感じて…俺がほしいって思ってよ」
腕の中で、快感を与えトロトロになった表情のしおりの顔中にキスをする零士の声は、上擦り艶めかしく掠れていた。
その声にもしおりは、感じてしまう状態で、自分自身、信じられないと蕩けた頭の中で思うのだ。
湯から上がっても、零士の手と唇は止まらない。
最後の一戦は超えてこないが、隙を見ては刺激を与えられる時間に、しおりの体は欲望に支配されていく。
生殺し状態でそれが辛いのだ…
今も隣で澄まし顔でいる零士は、夕食時に合流してきた香織と加賀と談笑している。
数分前まで、しおりの体を昂らせていた手で、箸を持っているのだ。