佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
こんな風に放置されたことなどなく、しおりは疼く体に我慢を強いられている。
まるで、これまで我慢を強いられてきた男からの仕返しのような気がして、隣の男に申し訳なく思うが、自分から抱いてほしいとは言えないでいた。
「しおりさん、今日は一緒に寝ましょうよ」
「『はあ⁈』」
男2人の声がハモった。
「香織、何言ってるんだ?おれ、何かしたか?」
「大地さん、何があったか自分の胸によーく聞いてみてください。しおりさん、女同士で、あっちの部屋で寝ましょうね」
加賀を無視する香織に、困惑する大地を零士は睨んだのだ。
「お前、なにしたんだ?」
さっぱり理由に心当たりがない大地だった。
しおりとしては、これ以上生殺しの目に遭うのは避けたい為か、素直にその案にのっかった。
「いいよ」
「えっ、しおり、なに言ってるの?最後の夜だよ」
「だから、香織と一緒に過ごしてないから、あっちで泊まってくるね」
嘘だろと、顔を覆う零士だった。
今日の数時間でしおりを蕩かせて、とことん追い詰めて欲しがらせるはずだった予定が、目の前の男のせいでおじゃんになったのだ。
思わず腹立たしさから、手元にあったお手拭きを投げつけるだ。
「なんでもいいから、謝って許してもらえ」