佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

そんなことを言ったところで、そもそもの原因がなんなのかわからない以上、無駄だとわかっているのだが、そうせずにはいられなかったである。

加賀の方は、原因に思いたったのだが、既に、女2人で決まったことに口だすのをやめた。

諦めた男達は、それぞれの女に微笑む。

「香織がこう言ってるんで、最後の夜ぐらい譲りますよ」

「なら俺たちは、男同士ガンガン酒盛りするか」

「ほどほどにね。運転手なんだからね」

「そうだった。なら、もう一泊する?」

腰を撫でるいやらしい手つきは、わざとなのだとしおりもわかっていて、ふり払う。

「しません。酔い潰れてたら置いて帰るから」

「あはは、置いてかれちゃ悲しいな。なら、ほどほどに飲むよ」

2人のイチャつきの変わりように、加賀と香織は、顔を見合わせて驚いたのだった。

しおりは香織と共にあちらの部屋に向かっていった。

「で、何あった?2人きりで話したいことがあるから、別々の部屋で過ごすこと認めたんだろ」

真剣な表情に戻り、観察眼の鋭い男に加賀は苦笑する。

「ほんと、お前の無駄に感のいいところ嫌いだよ」

「俺もお前は嫌いだ」

「今日、誰に会ったと思う?」
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